SBIG社製冷却CCDカメラ
CCD素子サイズにおける実視野方程式
(
Field Of View)

更新:2011年 11月 28日 月曜日

Field Of View」計算式とは?

 皆様が冷却CCDカメラで目標の天体対象を撮影される場合、
「どのカメラでどれぐらいの焦点距離でどれぐらいの写野角がとれるのか?」「画像の分解能はどれぐらいのしょう低距離でどの程度になるのか?」、更には学術的用途に合わせて「望遠鏡光学系の最高の解像度で対象を写すためにはどのCCD素子を選べは良いのか?」などなど、これらのご要望に対して、より具体的な「計算式」より算出される「具体的数値」が皆様のお手元にて「簡単に」算出できれば便利だとは考えられませんでしょうか?

 そんな時、お役に立つのが以下の二計算式です。

 ・「
CCD素子上での結像スポットの大きさ」を求める計算式。つまり、「1画素ごとの分解能(理論値)」を決定する際の目安が算出できます。
 ・「
FOVField Of View)」計算式。つまり、CCDカメラが写し出す構図写野「実視野角」を求める事が出来ます。

 そこでこのページでは以下のような
「テクニカル・コンテンツ」をご用意させて頂きました。実際の撮影前の準備にどうぞお役立て頂けましたら幸いでございます。


Sutdy1:
「1画素ごとの画像分解能」は、下記の方程式で算出可能です!


初めに

CCD面での星の大きさ(μm)
1.3 x (光学系の)F

上記を目安に最適な1画素分の視野角を求めます

1画素の視野・分解能(秒角「''」)
206 x 1画素サイズ(μm)
焦点距離(mm)



一例を挙げると
STL-6303E
(9μ角)」で「C9 1/4鏡筒(F10)撮影を行なった場合下記の要領で計算できます。

CCD素子面での結像サイズ(μm):
13μm(1.3×10)

1画素の視野角・分解能(秒角「"」):
0.789"秒角(206×9/2350)となり

理想的な「好シーイング」時には効果的ですが、平均的な「シーイング」時には「STL-1001E(24μ角)=
2.10"秒角
の組み合わせでも必要十分な分解能が確保できます。(STL-1001Eはそれに加え、
高感度カメラの利点が生かせます!)

参考までにこちらのページに 
 高感度カメラでの撮影レポートをアップしています。(←どうぞご覧下さい


 上記は理論的に求めた場合の計算式です。実際にはこの計算結果に以下の「シンチレーション」の影響が加味され、分解能は割り引かれます。



日本におけるシンチレーションの平均値(目安)


我々が住むこの地球には、宇宙空間と大空の間にバリアのような役割で「大気」が形成されています。この大気は、常に大小・多少の様々な「揺らぎ」を起こしており、天文分野ではこれらを「シンチレーション」と呼びます。このシンチレーションにより、地上から見る天体対象がそれに相対して分解能が低下します。これらを分かりやすく「流れの強い川底よりも、(流れの)緩やかな川底の様子のほうが見えやすい」という説明で例えられます。普段、我々が見上げている夜空でも同様の事が起こっているわけです。

これらの影響をうけ、四方を海に囲まれているここ日本では、一年を通じておよそ平均な好シーイング時:「1.5"(秒角)」/最高シーイング(年に数日):「0.7"(秒角)」・低シーイング時:「2.5"(秒角)」程度と言われています。

右図は、SBIG社が誇る「
AO装置(Adaptive Optics)」を使用した実地での「シンチレーション」の影響を示したものです。

如何に「シンチレーションの影響」が大きいかお分かり頂けたと思います。

 製品リンク:AO-8」/「AO-L」 
 AO装置(Adaptive Optics)






 以上のように撮影環境に最適な機材選び(つまりCCD素子の種類)が理想的です。


 次に、上記「シンチレーション」には左右されない「FOV(実視野角)」の計算方法です。


Sutdy2:
CCDカメラの写し出す「実視野」は、下記の方程式で算出可能です!


全画素の実視野(分角「'」
(1画素の視野角×画素数)÷ 60



上記をまとめると、、、例えば
ST-2000XCM(KAI-2020CM)TMB社115mmF7スーパーEDアポ鏡筒にて直焦点撮影を行なった場合下記の要領で計算できます。



まずは

1画素の視野角(秒角「''」)
206 × 7.4(μm)
805mm

により、1画素の視野角は「約1.89秒角」となり

長辺の実視野(分角「'」
短辺の実視野(分角「'」
(1.89秒角×1600画素÷ 60
(1.89秒角×1200画素÷ 60

X/Y軸それぞれの示す実視野は「X軸 → 約50.4分角」
「Y軸 → 約37.8分角」
と計算できます。

 つまり、上記の組み合わせにて「M13・球状星団(視直径23分角)」
が画角のおよそ3割弱程度(面積はおよそ1/9程度)に写る
計算となり、構図的にバランスの良いイメージングを行なって頂けます。


 さて、以上が「方程式」となりますが、実は以下の通りにこの「方程式」を組み込んだ「天文ソフトウエア」がございます。

 詳細は以下の通りです。(弊社がオススメする2本です。)



CCDOPS・カメラ制御用ソフトウエア→ 最新の日本語版はこちらより ) ※CCDカメラに標準付属です

その他メニュー→「FOV」コマンド

SBIG社製「冷却CCDカメラ(国内正規品)」に標準で付属のソフトウエアの収録機能の一つ。このコマンドでは、右記載のように「1ピクセルの秒角」から「CCD素子全面積の視野角」、更には「口径面積(主に光度測定時に重要!)」等がスペックとして表示されます。撮影対象のプロフィール等よりサイズの比較を行なうと良いでしょう。







日立ビジネスソリューション社製「THE SKY Ver6」(日本語版)・プロフェッショナル版

ツールバー→「視野インジケーター」

元来は「ソフトウエアビスク社(アメリカ)」社製の世界基準の「天文観測用データベース&自動導入コントロール&プレネタリウムソフト」です。この原盤英語ソフトを「日立ビジネスソリューション社」が非常に分かりやすい「日本語版」に仕上げた秀逸のソフトウエア。その中の「視野インジケーター」機能が優秀。計算結果を「赤線フレーム」で表示、ビジュアル的にも分かりやすくなっています。また「ダブルCCD素子」機ならば「ガイドCCD素子」の位置もフレーミング表示が可能で、ガイド星等の検索にも大いに役立ちます。
そのデータベースの多さと、他データベースからの「インポート」機能で、更にあなたの観測目的に合わせてのカスタマイズの可能。天文ソフトウエアと言えば「ザ・スカイ」です!




ご注意:写真は「英語版」。お届けは「正規日本語版」となります。





さて、以下には新旧型のSBIG社製冷却CCDカメラの実際の機種(モデル)に使用されているCCD素子の詳細を一覧します。
方程式・計算時にどうぞお役立てくださいませ。


SBIG社製冷却CCDカメラ・モデル別 「CCD素子」詳細一覧表

カメラ CCD素子 画素数 画素面積(μm) 素子面積(mm)
ST4/4X
TC-211
192 x 164
13.75 x 16
2.6 x 2.6
ST-5/5C
TC-255
320 x 240
10 x 10
3.2 x 2.4
ST-237A
TC-237
640 x 480
7.4 x 7.4
4.7 x 3.6
ST-V
ST-6シリーズ
TC-241
375 x 242
23 x 27
8.8 x 6.6
ST-7シリーズ
KAF-400/401/402ME
765 x 510
9 x 9
6.9 x 4.6
ST-8シリーズ
KAF-1600/1602/1603ME
1530 x 1020
13.8 x 9.2
ST-9シリーズ
KAF-0261E
512 x 512
20 x 20
10.2 x 10.2
ST-10シリーズ
KAF-3200ME
2184 x 1472
6.8 x 6.8
14.9 x 10.0
旧型ガイドチップ
TC-211
192 x 164
13.75 x 16
2.6 x 2.6
現行型ガイドチップ
TC-237
640 x 480
7.4 x 7.4
4.7 x 3.6
ST-1001E
KAF-1001E
1024 x 1024
24 x 24
24.6 x 24.6
ST-2000シリーズ
KAI-2000/2001/2020(C)M
1600 x 1200
7.4 x 7.4
11.8 x 8.9
ST-4000XCM
KAI-4022CM
2048 x 2048
15.2 x15.2
STL-4020シリーズ
KAI-4020/4021/4022M
STL-1301シリーズ
KAF-1301E
1280 x 1024
16 x 16
20.5 x 16.4
STL-1001シリーズ
KAF-1001E
1024 x 1024
24 x 24
24.6 x 24.6
STL-11000シリーズ
KAI-11002(C)M
4008 x 2745
9 x 9
36.0 x 24.7
STL-6303シリーズ
KAF-6303E
3072 x 2048
27.7 x 18.5
STX-1001E KAF-1001 1024 x 1024 24 x 24 24.6 x 24.6
STX-4022M・CM KAI-4022(C)M 2048×2048 7.4 x 7.4 15.2 x 15.2
STX-6303E KAF-6303E 3060×2040 9 x 9 27.7 x 18.5
STX-8300E・CE KAF-8300(C)E 3326×2504 5.4 x 5.4 17.9 x 13.5
STX-9000E KAF-9000E 3056×3056 12 x 12 36.6 x 36.6
STX-10100CM KAI-10100CM 3648×2760 4.75 x 4.75 17.3 x 13.1
STX-11002M・CM KAI-11002(C)M 4008×2675 9 x 9 36.0 x 24.7
STX-16000M・CM KAI-16000(C)M 4872×3248 7.4 x 7.4 36.0 x 24.0
STX-16803E KAF-16803E 4096×4096 9 x 9 36.8 x 36.8
STX-CCD42-40 CCD42-40 2048×2048 13.5 x 13.5 27.6 x 27.6
STX-CCD47-10 CCD47-10 1056×1027 13 x 13 13.7 x 13.3
STX-CCD42-00
CCD42-00
512×512
24 x 24
12.2 x 12.2


最後に、、、上記にて、観賞用の撮影用途での「構図決定」にはもちろんのこと、その他、撮影画像内での「離角測定」等の観測にもお役立て頂けます。

また、予め撮影対象の構図が把握できる為に現場でタイムロスの少ない「的確な」撮影/観測を行なって頂く事も可能です!
当ページの内容につきまして、ご不明な点等がございましたら、どうぞお気軽にご質問/ご相談下さいませ。

あなたのご要望内容に合わせまして、専属のスタッフが適格にアドバイスを申し上げます!



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